雪を言い訳にして。

 久しぶりの雪が降った。

久しぶりに雪の上を歩いた。

この前までは

街を歩くにしてもアスファルトの上を

ただ歩くだけだったけど

今は雪の上。

雪の上を歩くと

足跡がつく。

そうすると

今自分の後ろや目の前を

誰も歩いていないとしても

雪の上に足跡がついているから

さっきなのかずっと前なのかは

わからないけど

この道を誰かが歩いていたことになる。

雪がなかったら

人が誰も歩いていない

ひっそりとした道と思ってしまうけど

雪が積もったおかげで

誰かが歩いていたんだとわかる。

少し温かい道に思える。

雪をいい意味で言い訳に

している人がいる。

雪が降れば除雪をする。

テレビで取材されていたおじいちゃんが

ずっと家で暇をしていた。

除雪ができるこの日を待っていたと行っていた。

雪が降ったことで外に出る言い訳ができる。

早朝、除雪をしようすると

近隣の人たちも家の前を除雪する。

そうすると、みんながいることがわかる。

安否確認でもあるのが除雪だ。

雪が降っても日中に除雪されていない

家があると心配をしたりする。

アスファルトのままだと

変わらない家の前も

跡がつく雪だと変化がわかる。

逆に家にいることを正当化もできる。

雪が降ったから、寒くなるし

道路も危ないだろうし

家でゆっくりしようと。

早く帰りたい飲み会や夜の集まりでも

雪が降ってると

雪積もると大変なんで早く帰ります！とか

明日、除雪当番で！とか

雪のおかげで言い訳ができる。

雪まつりがあるのも、この雪の時期でも

外で会う言い訳になるからなのかもしれない。

最近、雪が少なくて

わざわざダンプで

雪を運ぶことにお金を使うなら

雪まつりを中止にするべきだと

言っていた人がいた。

中止にすべきだと言っている人たちは

雪まつりに何年も行ったことがない

人たちが言っていることに気づいた。

毎年、雪まつりを楽しみにしている

人たちがいる。

それを毎年準備して行っている

人たちがいる。

家で温まっているほうが

そりゃいいんだと思うけど

せっかくなら楽しもうよ

鼻水ダラダラで

手をかじかませて

そんな何もかも

雪を言い訳にして楽しめば。

楽しんだ後に雪に感謝することも忘れずに。

そんな事を雪のおかげで

考えてしまった。