はだかだからからだ。

秋田に僕はいます。

見えるにおい、見えないニオイ。

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高校時代、福祉の勉強をしていた。

その一環で、ある福祉施設

訪れた事がある。

 


施設の中を見学し

入所者の方々とふれあった後

職員の方への質問の時間があった。

 


その時間の中で同級生の1人が

質問というか思ったことを

その職員の方へ話した。

 


「施設臭がする」

と。

 


それを聞いた時

僕だけでなく

周りにいた同級生や先生の

空気が少し止まった感じがした。

 


その後

どういった話の流れになったのか

覚えてはいないが

その言葉と空気の感じを

今でも覚えている。

 


それから何年か後に

偶然にもその時の

職員の方に会う機会があった。

 


出会ったお店で

僕はあの時の事を聞いた。

覚えてないだろうと思っていたが

しっかりと覚えていると

話してくれた。

 


「あの時、施設臭がすると言われて

消臭剤などに、より一層気をつけました。

それまでも色々と気をつけてはいたのですが。」

 


あの時言葉にしてくれて

ありがたかった。

とまで言われたのか忘れてしまったが

多分、そうなのだろうと

話している言葉のニュアンスで

感じた。

 

 

 

高校生の頃

介護施設なんだから

施設臭がするのは当たり前だろうと

同級生が話した時、思っていた。

多分、そういう考えがあったから

施設を見学した時

施設臭がするなんて

思いも感じもしなかった。

 


あの高校生の時

僕らは指摘される側だった。

服装を指摘され髪型を指摘され

生活態度、部活動への姿勢。

 


あらゆる事を

大人や先生から

指摘されていた。

 


個人へ向けられるものもあったが

ほとんどは複数へ向けてだった。

 


だからなのか

指摘するのは大人のようであり

先生のようであり

指摘に対していい感情を

持っていなかった。

ただ、嫌な先生には

口ごたえのようにこちらから

指摘をしていた。

 


だから、なぜ嫌でもない

この職員の方に同級生が

そんな事を発言したのか

不思議だった。

 


だけど数年後

この職員の方と再会し、話をした事で

そう思っていた僕の過去が変わった。

 


僕らには気づけなかった事を

彼女は気づき、発言した。

みんなが見えてる事でなく

自分が見えた事を。

当たり前だと思っている事を

話さないのではなく

感じたままに。

 


彼女は本音で話した。

だから、職員の方も

僕もずっと覚えていたのだろう。

そして職員の方は

改善することができた。

 


年齢や立場に関係なく

指摘しあえる。

ただ、相手を監視するように

指摘するのではなく

相手にとって刺激になるような

改善しやすいような指摘が

できるようになりたいと思う。

 

 

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最近、ビールに使われる

ホップの収穫のバイトに

行っている。

 


初日の収穫の時

最近覚えたIPAの匂いに

収穫しながら包まれたと

思っていた。

ホップの匂いがこんなにも

濃いものだとは知らなかった。

 


だけど2日目には

もう慣れてしまい

今になっては

ほぼ感じなくなった。

 


施設の内部にいると

色々な匂いがすぐにわからなく

なってしまうのだろうか。

 

 

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このコロナ禍になって

ほぼ全ての店舗、施設に

アルコールスプレーが

置かれている。

 


今までは病院などでしか

置かれているのを

見かけなかったが

今、その風景は変わった。

 


アルコールスプレーが

入り口にあると施設臭を感じる。

匂いでもそうなのだけど

匂いではなく感じるものがある。

だが、最近はその感覚も

薄れてきている。

なぜ、消毒するのか

病気の予防のため

感染の予防のためなのに

他人の目を気にしている。

 

 

 

あの時彼女は

施設臭を匂いで感じたのか

アルコールスプレーのような物の

雰囲気で感じたのか

あるいは両方なのか。

 


今も介護施設

働いているのだろうか。

彼女は今

現場で何を感じているのだろう。

 


僕は今何を感じていて

何を感じなくなっていくんだろう。

 


アルコールスプレーが

どんどん見えなくなってきている。

見えなくなってきている。